ETHNOGRAPHY

リミックス?コラージュ? – あらゆるコンテンツを選んでまとめた『コンピレーション』が欲しい!

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渋谷 Bar Bossaのマスターが、カウンターの中から観察した世の中の“不便”に斬新なアイデアを提案する連載!

あるアーティストのアルバムを1枚買っても、すごく良い曲は1曲だけだったりしますよね。

だいたい一枚全部良い曲だらけなんてアルバムは滅多にありません。でも僕たちは良い曲ばかりを聞きたいわけで、そんなニーズにあわせて、そんな「この1曲!」だけを集めたコンピレーションCDが90年代にすごく流行しました。僕もすごく買ったし、自分で選曲したコンピレーションCDを出したこともあります。

アーティストとしては一枚のアルバムを通してメッセージのようなものを伝えたいのかとは思うのですが、情報量が多くなりすぎた現代では「誰かが編集、セレクトしたもの」が好まれるわけです。

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Photo by Heath Alseike


     

ところで、あのコンピレーションCDの「書籍版」ってあれば良いのにと思うんですよね。

もちろん今でも既にたくさん存在します。

宮部みゆきが選んだ短編小説集とか、柴田元幸が選んで翻訳した短編小説集。西崎憲も「ヘミングウェイの短編集」を出していて、これはかなりオススメです。

あるいは作品社が出している「日本の名随筆」というシリーズがあります。例えば筒井康隆が「嘘」というくくりで、小沢昭一が「貧」というくくりで色んな随筆を選んだコンピレーション本でとても面白いです。

でも文学だけだとちょっと硬い感じがするんですよね。

昔、学生時代のことなのですが、ある友人がエロ本はもちろん、ありとあらゆる雑誌の「好きなタイプの女性」や「好きなタイプのヌード」なんかをひたすら切って、そしてそれを丁寧に貼り付けた大学ノートみたいなものを見せてもらったことがありました。

あのですね、これがすごいんです。彼の美意識で編集されていて、もちろん本人はコラージュとかリミックスとかいう意識は皆無なのですが、1冊を通して「熱い何かを好きと感じている情熱のようなもの」が読者にガンガン伝わってくるんです。

自分のおもいっきり好きなものだけを集めて、それを大学ノートの一冊にギュッと凝縮させるのってすごいなあ、やっぱり誰かの強烈な愛情ってこちらの心を揺り動かすものがあるんだなあと痛感しました。

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Photo by Jacob Gube

そうなんです。やっぱり「文学」に限定してセレクトすると、どうしても文学的な意味とか、1冊読むと簡単な文学史が見えてくるとか、そういうバランスが入ってしまいます。

だからそういう「アカデミックな視点」は全部すっとばして、「もう印刷物だったら何でもいいから好きに編集して1冊の本にして良いよ」という「編集本」があれば良いと思うんです。

詩やエッセイや小説はもちろん、マンガやイラストや写真と、なんでもありの、でも誰かの強い美学に貫かれた編集本です。

例えば、リリー・フランキーが「好きなアイドルの写真とエッセイとマンガ」を集めたという本ってすごく見たくなりますよね。たぶんすごく独自の「エロ」みたいなものにこだわると思うんです。

あるいは穂村弘が選んだ「可愛いイラストと詩と短歌とエッセイとマンガ」の本なんていうのも僕は買います。大正時代の誰も知らないイラストや、最近でも誰も注目していないマンガなんかを編集してくれそうです。

あるいは江口寿史が選んだ「可愛い女の子とマンガ」の本があれば爆発大ヒットしそうです。もちろん江口寿史本人もイラストを描きたくなるだろうし、可愛い女の子だらけのすごい編集本が生まれそうです。

出来れば「音楽」もついてたら良いなあと僕は思うので、電子書籍のようなモノが良いのかなあとは思います。

発想が普通すぎではありますが、ピチカートファイブの小西康陽が選んだ「綺麗な女性の写真と、それにあわせて音楽が流れてくる電子書籍」のようなものがあったら、結構売れるような気がします。

はい、やっぱり電子書籍、あるいはインターネット上の方がかなり作りやすいような気がします。

おそらくこれからありとあらゆるコンテンツがインターネット上にあふれかえる時代がやってきますよね。

鉄腕アトムも全部が自由に読めるようになるし、谷川俊太郎の詩もインターネット上に全部あるようになるんだと想像します。

それらを全部、編集して「ネット上のコンピレーション本」なんかもありですよね。

あるいは、例えば谷川俊太郎に「この詩だけをネット上編集本として使用したいんですけど、クリック数にあわせて、著作料が振り込まれます」なんて契約をするというのはどうでしょうか。

もちろん谷川俊太郎に直接そんな交渉は出来ないから、間に入って全部自動的に処理するソフトなんかが開発されて、この楽曲やこの写真、この小説なんかを使用して、売れたら、10%は著作権を持っている人に振り込まれるってシステムを作ると有りなような気がしてきました。

著作権を持っている人にちゃんとお金がまわるように用意をして、そしてみんながドンドン使用できたり編集できたりする世界って面白いと思うのですが、どうでしょうか。

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■著者について

picture林 伸次 1969年徳島県生まれ。中古レコード店、ブラジルレストラン、バー勤務を経て、1997 年渋谷にbar bossaをオープンする。選曲CD、CD ライナー執筆多数。『カフェ&レストラン』(旭屋出版)、『cakes』で、連載中。著書『バーのマスターはなぜネクタイをしているのか? 僕が渋谷でワインバーを続けられた理由』(DU BOOKS)

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